Kaihei Suzuki
炭疽病罹病葉
炭疽病罹病葉(進展中の病斑)
病斑は、葉に発生する。レンガ色の大型不整形の病斑を形成し、大きいものでは葉面の半分以上に及ぶ。病斑は古くなると灰褐色になる。多発すると病葉の落葉により樹勢が低下し、次茶期以降の生産に悪影響を与える。
開葉したばかりの若い新葉に感染し、特に1.5~2葉期に感染しやすい。雨水によって飛散した胞子が新葉に付着し感染するため、新芽の生育期に雨が多いと発生しやすい。2週間程度の潜伏期間があり、大型病斑が認められるまでには20~30日程度の期間を要する。
高い防除効果を得るためには、萌芽期~開葉期と2~3葉期(7日程度の間隔)の2回防除が必要である。
もち病罹病葉
茎に発生したもち病
もち病が発生した状況
新葉と新梢に発生する。病斑部は、表側は黄緑色または紫色になり、裏側は特徴的な白色のもち状病斑を形成する。多発し収穫物に混入すると、荒茶の品質が低下する。
主に二番茶芽と秋芽に発生する。新芽の生育期に雨が多いと発生しやすく、山間地の風通しの悪い茶園で発生が多い。潜伏期間は10日程度とされている。
防除は、萌芽期前後に実施する。陰湿地で発生しやすいので、茶園の日当たりや風通しをよくする。
輪斑病罹病葉
輪斑病が発生した状況
葉や枝に発生する。葉では、同心円状の褐色輪紋を生じる。枝では、摘採等による切断面に暗褐色の病斑を生じ、徐々に下側に拡大し壊死する。落葉や枝枯れが発生し、樹勢の低下を引き起こす。
摘採等によってできた傷口から感染する。気温の高い時期に発生が多い。潜伏期間は1週間程度。
摘採直後の防除が最も効果が高い。摘採直後の防除が不可能な場合は、病原菌の侵入箇所を取り除くように浅めに刈り落とし、その直後に防除を行う。発生茶園で使用した摘採機や摘採袋によっても伝染するので、洗浄、消毒を十分行ってから他の茶園で使用する。
新梢枯死症状
新芽の基部が壊死し、新梢が枯死する症状。被害を受けた新梢は最終的に全体が枯死し、葉は落葉する。
新芽の包葉脱落部等に輪斑病菌が感染することによって引き起こされる。
萌芽期から2~3葉期に包葉や不完全葉が脱落するので、この時期に防除をおこなう。高い防除効果を得るには、萌芽期と2葉期の2回、防除が必要である。
褐色円星病罹病葉
褐色円星病(緑斑症状)
成葉に発生する。葉の裏側に暗緑色の小隆起を生じる(緑斑症状)。葉の表側には、暗褐色の円形または不整形の病斑を生じる(褐色円星症状)。多発すると一番茶時期に激しく落葉するため、減収を招く。
褐色円星症状は、主に1~5月に発生する。新芽の生育期の降雨は発生を助長する。褐色円星症状は生育不良園に多発する傾向にある。
被害が発生しやすい越冬葉の防除に重点を置く。そのため、三番茶を摘採しない茶園では、三番茶芽での防除が重要であり、三番茶を摘採する茶園では、秋芽での防除が重要となる。病原菌は多少硬化した葉にも感染する。新芽生育初期の防除効果は不安定であり、防除効果を上げるためには新芽の生育が進んだ出開き後~硬化初期に追加防除が有効である。
赤焼病罹病葉
成葉や枝梢に発生する。葉脈に沿って暗褐色の円形または不整形の病斑を形成する。病斑の周囲は水浸状になる。激発すると激しく落葉し、減収する。
傷口から感染する。強風雨にあった後に発生しやすい。寒害及び霜害は発生を助長する。
薬剤の散布適期は、台風等の強風雨の前後、秋期、2~3月。初発を確認したらすぐに防除を行う。幼木園では、防風ネット等の防風対策を行う。
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