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基本情報選抜試薬実際の選抜例

pPALSベクターシリーズ

選抜試薬

選抜試薬として、2種類提供しております。対象植物に合わせて、お選びいただけます。

▽ピリチオバックナトリウム塩

▽ピリミノバック

 

【ピリチオバックナトリウム塩】

1. 名称

一般名

ピリチオバックナトリウム塩

化学名

2-クロル-6-(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イルチオ)安息香酸ナトリウム

CAS登録番号

[123343-16-8]

構造式

図

2. 物理化学的性質

分子式

C13H10ClN2NaO4S

分子量

348.74

概観

白色粉末

融点

223.8-234.2℃(decomp.)

蒸気圧

4.80×10-6mPa (25℃)

分配係数

log P=0.6 (pH 5), -0.84(pH 7)

溶解度

水 26.4 g/100ml(pH 5), 69.0g/100ml(pH 7), 72.8g/100ml(pH 9) (全て20℃)
アセトン 81.2m g/100ml
メタノール 27.0 g/100ml
n-ヘキサン 1.0m g/100ml

安定性

水中(pH 5-9)、27℃で32日安定

3. 安全性

(1)人畜毒性: 普通物

急性経口毒性

: ラットLD50 4111(♂) , 2635(♀) mg/kg

 

急性経皮毒性

: ラットLD50 >2000(♂, ♀) mg/kg

 

皮膚刺激性

: ウサギ 無

 

眼刺激性

: ウサギ 有り

(2)催奇形成: 無

(3)変異原性: 無(陰性)

4. 作用機構
  ピリチオバックナトリウム塩は安全性の高いワタ用除草剤の有効成分です。植物の根部及び茎葉基部並びに茎葉部から吸収され、植物体内の分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)の生合成に関与するアセト乳酸合成酵素(ALS)を阻害するため、植物は生長に不可欠な分岐鎖アミノ酸の生産量が低下し、体内のアミノ酸バランスが崩れて枯死に至ります。
  本薬剤の植物に対する効果は3種の分岐鎖アミノ酸の同時添加により打ち消されることから、本薬剤はALS以外にターゲットを持たないと考えられます。なお、ALSは動物体内には存在しませんので、これがピリチオバックナトリウム塩の動物に対する毒性が低い理由です。
5. 使用方法
  ピリチオバックナトリウム塩は水溶性が高いので、10mMの水溶液を作成し、冷蔵保存して使用することをお勧めします。保存が長期化する場合には冷凍保存する必要があります。培地への添加方法は、滅菌した培地に滅菌フィルターでろ過した1000倍濃度のピリチオバックナトリウム塩溶液を加えるという方法を推奨します。例えば、ピリチオバックナトリウム塩を100 mlの培地に添加して最終濃度を1μMにしたい時は、10mM溶液を10倍希釈して1mMの溶液を作り、フィルター滅菌後にその0.1mlを100mlの滅菌した培地に添加します。
  また、原品種イネカルス(品種:金南風)のピリチオバックナトリウム塩(PS)に対する感受性を下図に示しました。これは約1.5g (湿重量) のカルスを液体培地中に種々な濃度のピリチオバックナトリウム塩で生育させたものです。植物細胞によって感受性は少しずつ異なりますが、イネ培養細胞は0.01μMのピリチオバックナトリウム塩によって強く増殖が抑制され、0.1μMになると完全に阻害されますので、培地に添加するピリチオバックナトリウム塩濃度は0.1μM-0.5μMが好ましいと考えられます。(弊社では0.25μM濃度により、再現性よく形質転換体を選抜しています。)増殖阻害効果が弱い場合には薬剤濃度を上げる必要があります。
  なお、分岐鎖アミノ酸が存在すると、ピリチオバックナトリウム塩の効果が低下或いは消失する可能性があります。培地中、少量のカザミノ酸等のアミノ酸混合液の使用(具体的には培地1L中300mgの添加)は効果に影響を与えないことを確認していますが、過剰の添加は避けたほうが良いと考えられます。(バリン、ロイシン、イソロイシンの同時添加は効果を消失させます。)

図

 
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【ピリミノバック】

1. 名称

一般名

ピリミノバック

化学名

2-(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イルオキシ)-6-(1-メトキシイミノエチル)
安息香酸

CAS登録番号

[136191-56-5]

構造式

図

2. 物理化学的性質

分子式

C16H17N3O6

分子量

347.33

概観

白色粉末

融点

125.0-127.0℃

pKa

3.73

溶解度

水 10.0mg/100ml(pH7)以上 (20℃)、弱酸性-酸性では穏やかに分解する。
弱アルカリ性では安定。

3. 使用方法
  ピリミノバックは水中安定性と水溶解度が低いので、アセトンに溶解(10mMのアセトン溶液を作成)後、 -20〜-30℃に保存して使用することをお勧めします。培地への添加方法は、滅菌培地に最終濃度の1000倍濃度のピリミノバックアセトン溶液を加えるという方法を推奨します。例えばピリミノバックを100mlの培地に添加して最終濃度を1μMにしたい時は、10mMの溶液をアセトンで10倍希釈して1 mMのアセトン溶液を作り、その0.1mlを100 mlの滅菌した培地に添加します。
  植物細胞によって感受性は少しずつ異なりますが、イネ培養細胞はピリチオバックナトリウム塩の場合と同様に0.01μMのピリミノバックによってかなり強く増殖が抑制され、0.1μMになると完全に阻害されますので、培地に添加するピリミノバック濃度は0.1μM-0.5μMが好ましいと考えられます。増殖阻害効果が弱い場合には薬剤濃度を上げる必要があります。
  なお、分岐鎖アミノ酸が存在すると、ピリミノバックの効果が低下或いは消失する可能性があります。培地中、少量のカザミノ酸等のアミノ酸混合液の使用(具体的には培地1L中300mgの添加)は効果に影響を与えないことを確認していますが、過剰の添加は避けたほうが良いと考えられます。(バリン、ロイシン、イソロイシンの同時添加は効果を消失させます。)
【参考】
  ピリミノバックは安全性の高い水稲用除草剤であるピリミノバックメチルの活性本体です。選抜用試薬としてはピリミノバックを使用しますが、物理化学データにつきましてはピリミノバックメチルについてより詳細に調べてありますので、参考データとして併せて記載致します。
1. 名称

一般名

ピリミノバックメチル

化学名

2-(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イルオキシ)-6-(1-メトキシイミノ
エチル)安息香酸メチル

CAS登録番号

[136191-64-5]

構造式

図

2. 物理化学的性質

分子式

C17H19N3O6

分子量

361.35

組成

(E)異性体75-78%; (Z)異性体20-11%

概観

白色粉末

融点

Tech.105℃; (E)異性体107-109℃, (Z)異性体70℃

蒸気圧

(E)異性体3.5×10-2mPa (25℃), (Z)異性体2.681×10-2mPa (25℃)

分配係数

log P= (E)異性体2.98 (21.5℃), (Z)異性体2.70 (20.6℃)

溶解度

(E)異性体: 水 0.925mg/100ml, メタノール 1.46 g/100ml (全て20℃)
(Z)異性体: 水 17.5mg/100ml, メタノール 1.40 g/100ml

安定性

水中(pH 4-9)で1年以上安定

3. 安全性

(1)人畜毒性: 普通物

急性経口毒性

: ラットLD50 >5000(♂, ♀) mg/kg

 

急性経皮毒性

: ラットLD50 >2000(♂, ♀) mg/kg

 

皮膚刺激性

: ウサギ 僅かに刺激性

 

眼刺激性

: ウサギ 僅かに刺激性

(2)催奇形成: 無

(3)変異原性: 無(陰性)

 
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基本情報選抜試薬実際の選抜例

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