育苗箱の環境は高温・多湿で、種の密度も高いため、
病原菌が増加しやすい環境です。
育苗時に発生する病害のうち、立枯症状を示す
糸状菌による病害を総称してイネ苗立枯病と言います。
ナエファイン剤は、イネ苗立枯病を引き起こす以下の
主要な糸状菌に対して優れた防除効果があります。
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「立枯」型、「ムレ苗」型2タイプがあります。いずれも、苗の地際部や周辺土壌にかびが発生しないことが特徴です。「立枯」型
根が水で浸したように褐色に変化して枯死します。
「ムレ苗」型
地際部が急に萎凋し、褐色に変化して枯死します。
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苗出芽直後から発生し、葉鞘や根などの地際部が紫褐色になり腐敗します。地上部
伸びが悪くなり、萎凋した後に黄色に変色して枯死します。
地際部
白色~紅色の粉状のかびが生えます。
出芽中に発病すると、種もみは出芽しません。
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出芽時の種もみの周辺に白いかびが発生します。かびは急速に繁殖し、2~3日で育苗箱全体に広がる場合もあります。地上部
伸長が止まり黄緑色に変色し、腐敗して枯死します。枯死せずに伸長しても草丈は低く不揃いになります。
根
短くなり先端が膨らんで伸長が止まり、褐色に変化して腐敗します。
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参考文献 : 「日本植物病害大事典」
(岸 國平/編 (株)全国農村教育協会、1998年)
ピシウム菌による苗立枯病に対する防除効果(フロアブル) 2016年 長崎県農林技術開発センター
試験規模 | 1育苗箱、3連制 |
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発生量 | 甚発生(接種) |
播種日 | 5月31日 |
処理方法 | 播種時覆土前灌注 |
調査方法 | 播種20日後に各区250苗について発病程度別に発病度を調査した。 |
ナエファインフロアブルは
対照剤と同等の防除効果が認められました。
ピシウム菌のまん延を抑え、良好なマットが形成されました。
対照剤と同等の防除効果が認められました。
ピシウム菌のまん延を抑え、良好なマットが形成されました。
フザリウム菌による苗立枯病に対する
防除効果(フロアブル) 2013年 日本曹達(株)榛原フィールドリサーチセンター
試験規模 | 1/10育苗箱大、3反復 |
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処理日 | 4月5日 |
処理方法 | 播種時覆土前灌注 |
調査方法 | 播種25日後に各区200苗について発病程度別に発病苗数を調査した。 |
ナエファインフロアブルは
フザリウム菌による苗立枯病に対して
対照剤に優る防除効果が認められました。
フザリウム菌による苗立枯病に対して
対照剤に優る防除効果が認められました。
リゾープス菌による苗立枯病に対する
防除効果(フロアブル) 2012年 クミアイ化学工業(株)
試験規模 | 1/35.2育苗箱大、3反復 |
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処理日 | 9月4日 |
処理方法 | 播種時覆土前灌注 |
調査方法 | 播種22日後に全苗の根について発病程度別に発病苗数を調査した。 |
ナエファインフロアブルは
リゾープス菌による苗立枯病に対して
対照剤と同等の防除効果が認められました。
リゾープス菌による苗立枯病に対して
対照剤と同等の防除効果が認められました。
高密度播種育苗におけるピシウム菌に対する防除効果(フロアブル・粉剤) 2018年 クミアイ化学工業(株)
供試作物 | イネ(品種:コシヒカリ) |
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播種日 | (慣行)乾籾150g/箱相当 (高密度播種)乾籾250g/箱相当 |
発生量 | 多発生(接種) |
処理日 | 8月16日(播種時覆土前) |
調査日 | 8月30日(播種14日後) |
調査方法 | 発病程度別に苗数を計数し、発病度を算出した。 |
播種量に関わらず
高い防除効果が認められました。
高い防除効果が認められました。
発根促進力 2018年 クミアイ化学工業(株)
●試験方法
- ナエファイン播種時灌注処理
- 14日
- 2.0葉期の苗の土を洗い
根を0cmに切りそろえた - 蒸留水に入れた
- 25℃、24時間明期、8日間
- 調査
品種 | キヌヒカリ |
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培土 | 山土(神奈川県産、無施肥)、宇部培土 |
処理日 | 山土 7月10日(播種時)、宇部培土 6月12日(播種時) |
試験方法 | 薬剤は播種時に灌注処理した。播種14日後に2.0葉期の個体を土から洗い出し、根を0cmに切りそろえた。 蒸留水に入れ、25℃24時間明期に8日間おいたのち、根部の生育を調査した。 |
山土(無施肥)供試 : 調査時の根の様子
ナエファインフロアブル処理区では、対照区に比較して根の生育促進が認められました。
試験事例
●
2018年 千葉県(社内現地試験)
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品種 コシヒカリ 播種日 3月15日 処理日 3月15日(播種時) 調査日 3月29日(播種14日後)
ナエファインフロアブル処理区は根の生育が促進され、マット形成の促進が認められました。
(公財)日本植物調節剤研究協会
委託試験結果 2012年
京都府農林水産技術センター農林センター丹後農業研究所
●試験方法
- ナエファイン播種時灌注処理
- 22日後
- 根を1cmに切りそろえた
- 1本/ポットで移植
- 29日後
- 調査
●移植29日後の苗の様子
品種 | コシヒカリ |
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播種日 | 5月1日 |
移植日 | 5月22日 |
調査日 | 6月20日(移植29日後) |
試験方法 | 播種時に薬剤を灌注処理した。 移植日に根を1cmに切りそろえ、1本/ポットで移植した。 |
ナエファインフロアブル処理区では、無処理・対照区に優る旺盛な生育が認められました。
ピカルブトラゾクスの作用機作は研究中ですが、
ピシウム菌に対しては、
複数の生活ステージに作用することがわかっています。
特に菌糸伸長阻害活性や遊走子形成阻害活性が高く、
この作用により高い防除効果を発揮します。