保安防災・労働安全衛生の推進

方針・考え方

「安全衛生」は収益を生み出さず、その費用を「コスト」として捉える考え方は古いものとなりました。現在では「安全衛生」は、企業価値の向上や長期的収益につながる「投資」として捉える考え方が世間一般となりつつあります。当社でも「安全衛生の推進」は企業経営において優先すべき重要事項であると考え、マテリアリティとして取り上げています。安全衛生の活動は、事業所主体と本社主体の二本立てで実施しています。事業所では安全衛生委員会が中心になり事業所ごとの対応を実施します。本社では日本化学工業協会の労働安全衛生部会や化学防護手袋研究会への参加、労働安全コンサルタントとの契約、大学教授との心理的安全の共同研究など、社外の団体・有識者とのつながりを通して自社の安全衛生を意識する活動をしています。社内外の協力のもと、全社的な安全衛生活動を推進しています。

安全衛生管理体制

当社では事業所ごとに総括安全衛生管理者を任命し、以下の事項を総括管理しています。

  1. 従業員の危険または健康障害を防止するための措置に関する事項
  2. 従業員の安全または衛生のための教育の実施に関する事項
  3. 健康診断の実施、その他健康管理に関する事項
  4. 労働災害の原因の調査および再発防止の対策に関する事項
  5. その他、安全及び衛生管理に関する事項

また、安全衛生委員会を設置し、従業員の安全衛生に関する関心を高めるとともに、従業員の意見を反映させ、災害防止対策ならびに健康の保持増進を向上させる活動を推進しています。各事業所では必要に応じ管理者・責任者、産業医等を選任し、安全衛生に関する業務を遂行しています。

さらに、2024年度からは、本社(レスポンシブル・ケア推進課)で各事業所の活動をサポートするために以下の対応を始めました。

  • 安全衛生活動の進捗、成果の可視化および活動の振り返りを容易にするために、年間安全衛生計画表の様式を変更し、統一する。
  • 社内グループウエアを利用し、各事業所の安全衛生委員会報告の情報共有を図る。

労働災害を抑止する取り組み

当社では発生した災害について、発生時の状況や再発防止のための改善等を報告書にまとめて管理して います。

労働災害発生件数(新規)

年度 通勤災害 業務災害 全体 内休業災害
2020 4 10 14 1
2021 5 5 10 0
2022 4 15 19 1
2023 1 6 7 1
合計 14 35 49 3
  • クミアイ化学単体

安全衛生に対する取り組み事例

静岡工場での取り組み

工場の安全衛生の取り組みの1つとして、心理学の重森雅嘉教授※1との共同研究を、2019年に静岡工場で開始しました。2022年より「心理的安全※2」をテーマに継続した研修を実施しています。

  • チームの心理的安全を高めるための、チームリーダー(課長、作業長)の心理的安全向上プログラムの実施
  • ゴールの共有 会社理念からブレークダウンした工場の理念として「ミッション」(静岡工場の存在意義)「ビジョン」(理想の静岡工場)「バリュー」(静岡工場の価値観、ビジョン実現のためにこうあるべき)を考え、同じ方向性を持つ。
  • リーダーとメンバーでの心理的安全の感じ方の違いの確認
  • グループに特有な心理的安全の調査項目の確立と調査項目アンケートによる心理的安全の測定

工場の生産を安全に効率よく進めるには、テクニカルとノンテクニカルの両輪を同時に回すことが必要です。そして心理的安全はノンテクニカルな側面において、チームの皆が対人関係のリスクを感じないで安心して発言できる環境を作るために、リーダーが生み出さなくてはいけないチームの特徴です。

※1 静岡英和学院大学短期大学部現代コミュニケーション学科教授。著書に『ヒューマンエラー防止の心理学』(日科技連出版社)がある。
※2 参考文献:Edmondson, A.C. The Fearless Organization.

龍野工場での取り組み

2018 年に、龍野工場に新設する顆粒水和剤新プラントの建設プロジェクトを生産現場と本社とで立ち上げました。安全・環境への配慮を念頭に設計検討を重ね、2022 年10 月4 日に竣工式を行い、同月に検収運転前の安全診断を行いました。
新プラントの設計は以下のコンセプトで検討されました。

  1. 省エネ・省力・無人
  2. フレキシブル・プラント丸洗い
  3. スマート工場・デジタル工場
  4. 合理化・効率化

これらにより安全対策やリスク軽減がなされました。従来の切り替え作業時における作業者の曝露リスクを軽減するために全工程水洗可能な設備にしました。また、粉じん飛散を抑えた設備工程により作業者曝露の軽減と粉じん爆発への安全対策を図りました。
機器、作業のリスクアセスメントについては、外部の労働安全コンサルタントの協力のもと、検収運転前に安全診断(リスクアセスメント含む)を実施しました。その対応を図るとともに、検収運転時の追加リスクを抽出し、さらに改善を実施しました。再度、労働安全コンサルタント参加の安全診断により残存リスクの検討を行いました。