使用上のポイント
抑草剤として使用する場合
グラスショート液剤は水田の畦畔や農道、水路などの法面(傾斜地)の雑草の抑草剤として開発した薬剤です。本剤の特長を十分に発揮させるために下記の点に注意し、使用してください。
【使用場所】
- 一年生から多年生まで植生が多様な水田の大型畦畔、農道、水路などの法面(傾斜地)に使用してください。
- ノシバを畦畔の被覆植物として利用している場合、グラスショート液剤はノシバにほとんど影響を与えませんので、安心して使用できます。
- 広葉雑草主体の狭い畦畔などでは、雑草が枯殺されることで抑草効果が得られない場合があります。
- 果樹および有用植栽木の近くでの使用は避けてください(茎葉部へのドリフトは葉の黄化、落葉、枯死などの薬害を、樹冠内・根元の散布は根部からの吸収による薬害を生じることがあります)。
【各種雑草に対する作用性】
- チガヤなどの多年生イネ科雑草主体の場所に散布してください。
ヨモギ、イタドリ、スギナ等の多年生雑草が混在しても、抑草効果を発揮します。
- オヒシバ、イタリアンライグラス、カラスムギ等の一年生イネ科雑草主体の場所では抑草効果が短くなります。
- シロツメクサ、オオバコ等に対しては枯殺するので、これらの雑草が主体の場所では使用をさけてください。
- キシュウスズメノヒエ、イボクサ等の畦畔から水田へ侵入するおそれのある雑草にも効果があります。
- クズ等のつる性雑草には枯殺効果があります。
【散布方法・散布薬量】
- 10a当たり薬量500mlを、通常散布の場合は水50~100l(100~200倍液)、少量散布の場合は水25l(50倍液)に希釈します。
- 法面(傾斜地)などで面積換算が難しい場合は、200倍液(例:薬液100mlを水20lに希釈)を雑草の茎葉部が十分濡れるように散布してください。いずれの場合も展着剤は不要です。
- 水稲への直接散布は、絶対に避けてください。また、野菜、果樹へのドリフトにも十分注意してください。
- 「霧なしノズル」を用いて雑草の茎葉部が十分濡れるように散布してください。「通常ノズル」を使用する場合はドリフト防止のカバーを使用し、水稲や他作物へドリフトしないように注意してください。
【散布時期】
- 雑草の刈り取り後、再生初期(草刈り10~15日後、草丈10cm程度)に散布してください。
- 刈り取りをしないで散布すると、草種によっては抑草効果が不十分となる場合があります。
- 刈り取り後、再生初期の散布による抑草期間は、草種・時期によって異なるが、チガヤの場合は40~50日程度です。地域の刈り取り時期、回数、草種に合わせた体系処理も可能です。
殺クズ剤として使用する場合
グラスショート液剤は、特にマメ科雑草に茎葉処理で卓効を示します。また、土壌処理では特長を十分に発揮できないので下記の点に注意し、使用してください。
【使用場所】
果樹および有用植栽木の近くでの使用は避けてください(茎葉部へのドリフトは葉の黄化、落葉、枯死などの薬害を、樹冠内・根元の散布は根部からの吸収による薬害を生じることがあります)。
【処理方法など】
- 雑草茎葉散布の場合
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- 10a当りの面積換算では薬量1000mlを水100l(100倍液)に希釈する方法を標準とします。
- 茎葉からの吸収移行により効果を発揮します。従ってクズの茎葉部が十分濡れるように散布してください。展着剤は不要です。
- 水稲への直接散布は、絶対に避けてください。また、野菜、果樹へのドリフトにも十分注意してください。
- 「霧なしノズル」を用いてクズの茎葉部が十分濡れるように散布してください。「通常ノズル」の場合、ドリフト防止のカバーを使用し、水稲や他作物へドリフトしないように注意してください。
- つる処理の場合
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- 処理位置は、株元から50cm以内とし、刃物などで外皮を木質部が見えるくらいに剥皮して、薬液が十分付着するように滴下してください。
- 株頭が大きく、複数のつるが出ているものは、すべてのつるに薬液を処理してください。
【クズの生活環】
- 種子からの発生と多年生茎からの発生があるが、どちらも桜の開花期以降に萌芽を始め、梅雨時期頃までは緩慢に伸長します。
- 梅雨時期にはいると急激に伸長速度を速め、7月下旬~8月上旬にピークに達します。その後猛暑の時期は一時期生育を休止します。
- 9月にはいると再び伸長が旺盛になり、このころ開花し、種子をつけます。その後主根(貯蔵根・塊根)に養分を貯蔵し、11月上旬頃より葉が黄化始めます。
- 12月に入るとほとんどの葉が落葉し、種子が完熟(発芽しないもの・発芽しやすいもの・複数年発芽しないものの3種ある)して飛散します。茎はそのまま休眠状態に入り、多年生茎となり次年度の発生源となります。
【処理時期】
- 雑草茎葉散布の場合
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- 上記(1)の生育初期(クズの草丈:0.5~1m程度)に刈り取りをせず茎葉部が十分濡れるように散布してください。
- 上記(2)の生育ピーク時にクズを刈り取り、再生初期(草刈り5~7日後、草丈50cm程度)に茎葉部が十分濡れるように散布してください。
- 上記(3)の再生育・貯蔵物転流期にクズを刈り取り、再生初期(草刈り10~15日後、草丈30~50cm程度)に茎葉部が十分濡れるように散布してください。
- 刈り取りをしないで散布するには、全ての茎葉が十分濡れるように散布してください。
- つる処理の場合
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- 生育初期(5~6月)に上記処理方法のように薬液を処理してください。