各有効成分の作用機構
ペンフルフェンの作用機構
ペンフルフェンは、病原菌のミトコンドリア電子伝達系の複合体IIたんぱく質(コハク酸脱水素酵素)に作用してエネルギー代謝を妨げます。その結果、病原菌の生活環における主たる生育段階、すなわち菌糸伸長、胞子発芽、発芽管伸長、胞子形成などを強く阻害することが認められています。特に担子菌類のリゾクトニア属菌に対しては低薬量で優れた効果を示します。
イソチアニルの作用機構
イソチアニルは、イネ自身が本来持っている病害抵抗性機能を増強させる植物病害抵抗性誘導型殺菌剤です。
イソチアニルは、処理後速やかに根部より吸収されイネ体内に移行し、さまざまな病害抵抗性関連の防御反応をイネ体内に誘導します。この時点からイネは、病原菌の侵入に備える自己防御態勢(プライミング状態)を整えます。このようにイソチアニルは、イネが先天的に備えてる自己防御機構を増強させ、いもち病や白葉枯病などからイネを守ります。
イミダクロプリドの作用機構
イミダクロプリドは、シナプス後膜(ニコチン型アセチルコリンセプター)に作用し、神経を興奮させた後に遮断し、昆虫の活動低下を引き起こします。また、イミダクロプリドは口や皮膚から昆虫体内に容易に取り込まれ速効的な殺虫活性を示しますが、致死濃度以下でも全身的な弛緩や運動能力の低下を引き起こし、摂食、吸汁活動や歩行、飛翔行動を妨げ、交尾、産卵などの行動を抑え、その効果は長期間続きます。
強い殺虫活性とその後の長期間にわたる制虫剤的な作用が従来剤に見られないイミダクロプリドの大きな特長です。
クロラントラニリプロールの作用機構
クロラントラニリプロールは、昆虫の筋収縮を誘発する新しい作用性を持つ殺虫剤です。筋肉細胞の筋小胞体は細胞内のカルシウムイオン濃度を調整することにより筋肉の収縮・弛緩をコントロールしています。クロラントラニ
リプロールは筋小胞体のリアノジン受容体(RyR)に結合して筋小胞体内のカルシウムイオンを細胞内に放出させます。その結果、昆虫は筋収縮を起こし速やかに活動を停止し、死亡します。