豆つぶ剤って
なあに?
楽しく簡単に散布できる
農薬「豆つぶ剤」
豆つぶ剤は鯉のエサからヒントを得て誕生した、クミカオリジナルの水田用の省力散布製剤です。
ドリフトが少なく、軽くて優れた自己拡散性を持ち、20年以上の歴史から培われた多様な散布方法と、豊富なラインナップが特長です。
大規模経営をされている法人様からも、水田の除草・殺虫・殺菌作業の労力軽減と経営改善に貢献できる剤型として高い支持をいただいております。
水稲作における雑草防除の重要性
「農業は雑草との戦いである」という言葉を聞いたことがありますか?農作物の栽培において雑草は‘敵’というわけです。そのため除草は、昔から栽培期間中に当然行われる農作業のひとつに組み込まれてきました。米作りでも同じで、稲作が始まってからずっと農業者は除草作業をしてきたはずです。もちろん‘手取り除草’です。この手取り除草は、逃げ出したいが逃げ出せない極めて過酷な労働であることが、江戸時代の書物からも読み取ることができます。ではなぜ‘除草’が農作業の中で重要なのでしょう。それは、雑草が蔓延(はびこ)ることで、農作物に被害(雑草害)を及ぼすからです。雑草害としてまず挙げられるのは「減収」です。雑草が減収を引き起こす要因には、水稲作ではイネと雑草が養分を競い合う‘養分競合’、イネと雑草が背丈を競い合う‘光競合’が良く知られています。光競合はイネよりも雑草の背丈が高くなって日陰ができ、イネの成長が遅れて収量が減るという仕組みです。水田では他にも、アオミドロや表層剥離も防除対象になることがあります。これらが田植え後に大発生すると、日光が遮られ水温や地温が上がらず、イネの活着や分げつの開始が遅れるなど生育に悪影響を及ぼします。茎が木化して大型になる雑草が残った場合も大変です。コンバインの刈刃が破損するなどトラブルを引き起こします。また雑草が斑点米カメムシの棲み家となり、これらが米の品質に被害を及ぼすこともよく知られています。
省力散布剤型の開発と除草労働軽減化の歴史
除草作業という重労働は、除草剤という文明の利器の登場によって大きく改善されました。昭和24年(1949年)は日本で最初の除草剤2,4-Dが使われ始める前年ですが、当時はすでに‘雁爪(がんづめ)’や‘田打ち車’などの除草器具は開発されていましたが、それでも除草作業は‘手取り除草’が中心だったようです。その当時の除草労働時間を農林水産省の統計データで調べると、10アールあたり50.6時間となっています。その後MCP、PCP、CNP、ベンチオカーブなど除草剤が次々と開発され、除草剤の登場から約30年経過した1980年の除草労働時間は5.9時間となりました。このあと一発処理剤や省力散布剤型が次々と開発されていきました。1982年には最初の一発処理剤クサカリンやオーザなどが登場し(除草労働時間は5.7時間)、1987年にALS阻害型除草剤のベンスルフロンメチルの登録に合わせ、ウルフやザークなどの一発処理剤が登場しました。1990年には除草剤初のフロアブル剤シーゼットフロアブルが登場し(除草労働時間は2.4時間)、これが最初の省力散布剤型といえます。1994年には1キロ剤が市販化され、同じ年に最初のジャンボ剤クサトリ―ジャンボ、モゲトンジャンボが登録されました(除草労働時間は1.6時間)。最初の拡散型粒剤はクラッシュ1キロで1996年に登場、その後ピリミノバックメチル、ビスピリバックナトリウム塩が登録され、1999年には少量拡散型粒剤ダンシングA/L500グラム粒が登場し、翌2000年にはより投下製品量を低減した少量拡散型粒剤で最初の豆つぶ剤パットフルA250グラムが登場しました。2000年の除草労働時間は1.8時間です。その後ピリミスルファンなど新しいALS阻害型除草剤が開発され、2015年の除草労働時間は1.3時間となり、そして2021年の除草労働時間は個人経営の場合で1.01時間、組織法人経営の場合で0.79時間にまで減少しています(図1)。
豆つぶ剤(少量拡散型粒剤)の普及状況と今後の展望
1970年以降の水稲用除草剤について剤型別の使用面積を図2に示しました。1970年当時は大半が3キロ粒剤でしたが、1990年にフロアブル剤(普及開始は1991年)、1994年に1キロ粒剤、1995年にジャンボ剤、2000年に豆つぶ剤など、省力散布剤型が相次いで開発されました。中でも、機械を使わずに手軽に散布できるジャンボ剤は、普及開始から少しずつ使用面積が拡大し、2017年度にはフロアブル剤の面積を上回り、現在は1キロ粒剤に次いで使用面積が大きい剤型となっています。
ここで注目したいのが豆つぶ剤などの少量拡散型粒剤の動向です。この剤型はジャンボ剤と同様に散布時の水面に藻類が多発していると拡散が妨げられるなどの制約がある一方で、柄杓状の散布器具ですくいとって投げ入れたり、背負式動力散布機はもちろん無人ヘリコプターやドローンに搭載して散布できるなどメリットが多く、2023年度は各剤型の使用面積がわずかずつ減少したのに対し、少量拡散型粒剤の使用面積は継続して増加して、ついに3キロ粒剤の使用面積を上回りました。ジャンボ剤、フロアブル剤、少量拡散型粒剤など省力散布剤型の動向は、今後も注目されるでしょう(図3)。
豆つぶ剤のメカニズム
クミカ独自の活性剤による豆つぶ剤の「拡散性」が
水稲用除草剤の防除効果を高める
土壌面の有効成分「処理層」をいかに均一に形成するかが効果を高めるポイント。
豆つぶ剤の優れた「拡散性」が均一な処理層を形成します。