【水稲・園芸/殺菌剤】
エコホープDJ
トリコデルマ アトロビリデ水和剤
SDS(安全データシート)
公益財団法人日本中毒情報センターへの問い合わせ方法は「一般市民向け受信相談について」をご参照ください。
登録番号 | 第21902号 [クミアイ化学工業㈱ 登録] |
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成分 | トリコデルマ アトロビリデSKT-1 1×10E8 cfu/g |
性状 | 類白色水和性粉末 |
毒性 | 普通物(毒劇物に該当しないものを指していう通称) |
危険物 | 非該当 |
販売地域 | 全国 |
有効年限 | 6ヶ月 |
包装 | 100g×10袋×6箱、500g×10袋 |
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作用機構分類番号 (RACコード) |
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- チラシ・技術資料関連
- その他関連情報
特長
- 静岡県農業試験場と共同で開発した微生物農薬です。
- 有効成分は非病原性糸状菌(Trichoderma atroviride SKT-1)の胞子です。
- この糸状菌は平成7年に静岡県静岡市の安倍川河川敷より採取したノシバより分離されました。トリコデルマ菌は土壌中に広く見出される糸状菌で、一般的に土壌中の有機物を栄養源として腐生的に生活している微生物として知られています。
- 微生物を有効成分としたイネ種子伝染性病害防除剤です。
- 従来の種子消毒剤と異なる作用で、ばか苗病、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病に高い防除効果を示し、いもち病、褐条病、苗立枯病(リゾープス菌)の同時防除が可能です。
- 安全性が高く、環境負荷が少ない環境保全型農業に適した資材です。
- 生菌の微生物農薬ですので、特別栽培農産物において使用成分回数にカウントされません。実際の使用、生産物表示にあたっては、地方公共団体などの認証機関にお問い合わせください。
- 薬害の心配がなく、浸種前~催芽時までの任意の時期に使用することができます。
適用病害と使用方法
作物名 | 適用病害名 | 希釈倍数 | 使用液量 | 使用時期 | 本剤の使用回数 | 使用方法 | トリコデルマ アトロビリデを含む農薬の総使用回数 |
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稲 | いもち病 褐条病 苗立枯細菌病 苗立枯病(リゾープス菌) ばか苗病 もみ枯細菌病 | 200倍 | - | 催芽時 | - | 24時間種子浸漬 | - |
浸種前~催芽前 | 24~48時間種子浸漬 | ||||||
アスパラガス | 紫紋羽病 | 500倍 | 3L/㎡ | 収穫前日まで | 土壌灌注 | ||
たばこ | 白絹病 | 200ml/株 | 2回以内 | 株元灌注 |
上手な使い方

なぜ効くのか?
【作用機作】
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【Trichoderma atroviride SKT-1の形態及び生物学的性質】
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【安全性、環境への影響】
-
人畜に対する安全性:普通物
経口投与(ラット/オス・メス) 病原性、生残性、感染性なし 経皮投与(ウサギ/オス・メス) 病原性、生残性、感染性なし 経気道投与(ラット/オス・メス) 病原性、生残性、感染性なし 静脈内投与(ラット/オス・メス) 病原性、生残性、感染性なし 眼一次刺激性(ウサギ/オス) 原末は刺激性あり 皮膚刺激性(ウサギ/オス・メス) 刺激性なし 皮膚感作性(モルモット/オス) 陽性 -
魚毒性:A類相当
コイ TLm30日>1×106cfu/ml 中毒症状、死亡なし オオミジンコ TLm21日>1×106cfu/ml 繁殖性に影響なし 藻類 セレナストラム>1×106cfu/ml 影響なし -
有用動物、昆虫に対する影響
鳥類:ウズラ 病原性、生残性、感染性なし チリカブリダニ成虫 影響なし ヤマトクサカゲロウ幼虫 影響なし タイリクヒメハナカメムシ 影響なし ミツバチ(虫体噴霧) 影響なし 蚕(4令幼虫・飼料混入) 影響なし -
植物(作物)に対する影響
下記のものに対し、茎葉散布、土壌灌注処理で病原性、感染性なし
稲、とうもろこし、小麦、大豆、いんげん、たまねぎ、ねぎ、にんじん、はくさい、キャベツ、だいこん、かぶ、ブロッコリー、カリフラワー、レタス、サラダナ、こまつな、タアサイ、チンゲンサイ、きゅうり、トマト、なす、ピーマン、メロン、すいか、かぼちゃ、ほうれんそう、おくら、しそ、しゅんぎく、パセリ、モロヘイヤ、てんさい、ひまわり、サルビア -
土壌微生物
細菌、放線菌、真菌に対し影響なし
-
環境中での動態
本菌は、土壌中では速やかに自然界に存在する菌量まで減衰し、また、水中では速やかに死滅します。(下図)
【環境中での動態】(クミアイ化学:室温条件)
試験成績
ばか苗病に対する効果
静岡県農業試験場(2005年)/
●品種:短銀坊主
●発生状況:多発生(接種)
供試薬剤 | 処理方法 | 発病苗率(%) | 防除価(%) | 薬害 |
---|---|---|---|---|
エコホープDJ | 浸種前 200倍 24時間浸漬 | 1.2 | 97.7 | - |
催芽前 200倍 24時間浸漬 | 1.0 | 98.1 | - | |
催芽時 200倍 24時間浸漬 | 1.2 | 97.7 | - | |
対照B水和剤 | 浸種前 200倍 24時間浸漬 | 1.1 | 97.9 | - |
無処理 | --- | 52.2 | - | - |
もみ枯細菌病に対する効果
長野県南信農業試験場(2005年)/
●品種:キヌヒカリ
●発生状況:甚発生(接種)
供試薬剤 | 処理方法 | 発病度(%) | 防除価(%) | 薬害 |
---|---|---|---|---|
エコホープDJ | 浸種前 200倍 24時間浸漬 | 13.6 | 83.1 | - |
催芽前 200倍 24時間浸漬 | 0.0 | 100 | - | |
催芽時 200倍 24時間浸漬 | 0.0 | 100 | - | |
対照F水和剤 | 浸種前 200倍 24時間浸漬 | 0.3 | 99.7 | - |
無処理 | --- | 80.5 | - | - |
苗立枯細菌病に対する効果
愛知県農業総合試験場(2005年)/
●品種:コシヒカリ
●発生状況:多発生(接種)
供試薬剤 | 処理方法 | 発病度(%) | 防除価(%) | 薬害 |
エコホープDJ | 浸種前 200倍 24時間浸漬 | 10.9 | 82.5 | - |
催芽前 200倍 24時間浸漬 | 1.4 | 97.7 | - | |
催芽時 200倍 24時間浸漬 | 2.7 | 95.7 | - | |
対照B水和剤 | 7.5倍 3%塗沫 | 21.0 | 66.4 | - |
無処理 | --- | 62.6 | - | - |
褐条病に対する効果
長野県農事試験場(2005年)/
●品種:キヌヒカリ
●発生状況:多発生(接種)
供試薬剤 | 処理方法 | 発病度(%) | 防除価(%) | 薬害 |
---|---|---|---|---|
エコホープDJ | 浸種前 200倍 24時間浸漬 | 8.9 | 73.5 | - |
催芽前 200倍 24時間浸漬 | 13.4 | 60.1 | - | |
催芽時 200倍 24時間浸漬 | 5.5 | 83.8 | - | |
対照B水和剤 | 浸種前 200倍 24時間浸漬 | 1.1 | 96.7 | - |
無処理 | --- | 33.7 | - | - |
いもち病に対する効果
鹿児島県農業試験場(2005年)/
●品種:ササニシキ
●発生状況:少発生
供試薬剤 | 処理方法 | 発病苗率(%) | 防除価(%) | 薬害 |
---|---|---|---|---|
エコホープDJ | 浸種前 200倍 24時間浸漬 | 0.2 | 88.2 | - |
浸種時 200倍 24時間浸漬 | 0.2 | 88.2 | - | |
播種前 200倍 24時間浸漬 | 0.3 | 82.4 | - | |
対照D水和剤 | 浸種前 200倍 24時間浸漬 | 0.1 | 94.4 | - |
無処理 | --- | 1.7 | - | - |
苗立枯病(リゾープス菌)に対する効果
日本植物防疫協会研究所(2005年)/
●品種:コシヒカリ
●発生状況:少発生(接種)
供試薬剤 | 処理方法 | 発病度(%) | 防除価(%) | 薬害 |
---|---|---|---|---|
エコホープDJ | 浸種前 200倍 24時間浸漬 | 5.4 | 62.2 | - |
催芽前 200倍 24時間浸漬 | 5.2 | 63.6 | - | |
催芽時 200倍 24時間浸漬 | 3.0 | 79.0 | - | |
対照G水和剤 | 500倍 500ml/箱 覆土前潅注 | 5.6 | 60.8 | - |
無処理 | --- | 14.3 | - | - |
混用・体系処理の適否
処理方法 | 薬剤 | 判定 |
浸種前処理 (体系) |
ルーチンシードFS | ◯ |
ヨーバルシードFS | ◯ | |
エバーゴルシードFS | ◯ | |
種子浸漬 (混用) |
スミチオン乳剤 | ◯ |
パダンSG | ◯ | |
テクリードCフロアブル | × | |
ベンレート水和剤 | × | |
ベンレートT水和剤 | × | |
ヘルシード乳剤 | × | |
ヘルシードTフロアブル | × | |
モミガードC水和剤 | × | |
スポルタック乳剤 | × | |
トリフミン乳剤 | × | |
スターナ水和剤 | ◯ | |
スポルタックスターナSE | × | |
カスミン液剤 | ◯ | |
シードラック水和剤 | × | |
エコフィット | × | |
床土混和・播種時処理 (体系) |
ダコニール粉剤 | ◯ |
ナエファイン粉剤 | ◯ | |
タチガレエースM粉剤 | ◯ | |
タチガレン粉剤 | ◯ | |
パダン粒剤 | ◯ | |
カスミン粒剤 | ◯ | |
プリンス粒剤 | ◯ | |
ルーチン粒剤 | ◯ | |
ツインパディート/ ルーチンパンチ箱粒剤 |
◯ | |
ツインターボフェルテラ箱粒剤 | ◯ | |
ブーンパディート箱粒剤 | ◯ | |
ブーンレパード箱粒剤 | ◯ | |
ブーンゼクテラ箱粒剤 | ◯ | |
ブーンハーデス箱粒剤 | ◯ | |
エバーゴルフォルテ箱粒剤 | ◯ | |
エバーゴルワイド箱粒剤 | ◯ | |
播種時潅注 (体系) |
ダコニール1000 | ◯ |
ナエファインフロアブル | ◯ | |
ベンレート水和剤 | × | |
ダコレート水和剤 | × | |
タチガレエースM液剤 | ◯ | |
タチガレン液剤 | ◯ | |
ダコニール1000 | ◯ | |
カスミン液剤 | ◯ | |
エコフィット | ◯ | |
播種後7日~ | ベンレート水和剤 | ◯ |
ダコレート水和剤 | ◯ |
注意事項
注意事項
- 有効成分は生菌であるため、入手後できるだけ早く使用してください。また、開封後は全て使いきってください。
- 薬液の調製は、まず本剤の所定量に少量の水を加えてかき混ぜ、その後所定量となるよう水を加え十分攪拌してください。
- 種籾と処理薬液の容量比は1:1以上とし、種籾は目の粗い網袋などを用い薬液内で種子袋をよくゆすってください。
- ベノミル含有剤、チオファネートメチル含有剤及びEBI剤との混用またはは種時処理との体系使用は効果が低下するのでさけてください。
- 種子浸漬後は風乾せず直ちに浸種あるいは催芽をおこなってください。
- きのこ等の菌類の作物に対して影響を及ぼすおそれがあるので、きのこ等に絶対にかからないようにしてください。使用前にきのこ等への安全対策について、関係指導機関と十分に協議し、きのこ等への安全対策に留意して使用してください。
- 使用に当っては、使用量、使用時期、使用方法などを誤らないように注意し、特に初めて使用する場合は、病害虫防除所等関係機関の指導を受けることをお勧めします。
安全使用上の注意
- 眼に対して刺激性があるので眼に入らないように注意してください。眼に入った場合には直ちに水洗し、眼科医の手当てを受けてください。
- 使用の際は農薬用マスク、不浸透性手袋、不浸透性防除衣などを着用するとともに保護クリームを使用してください。 作業後は直ちに身体を洗い流し、うがいをするとともに衣服を交換してください。
- 作業時に着用していた衣服などは他のものとは分けて洗濯してください。
- かぶれやすい体質の人は作業に従事しないようにし、施用した種子などとの接触をさけてください。
- 夏期高温時の使用はさけてください。
- 魚毒性等…浸漬後の薬液は、河川等に流さず、水産動植物に影響を与えないよう適切に処理してください。
- 保管…密封し、直射日光をさけ、食品と区別して、冷涼・乾燥した場所に保管してください。